日曜サスペンス劇場(30) / 好機
「日曜サスペンス劇場」シリーズは実際にプレイしたTRPG(テーブルトークRPG)の小説化です。
それを念頭においた上でお読みいただけると、より楽しめるかと存じます。
本筋
好機は意外に早くやってきた。
ボク達、エイケンのメンバーで結城ミサオが所有する孤島へ行くことになったのだ。
映画の撮影会……らしい。
その島はもちろん、海の上も無法地帯だ。
確実な証拠さえ捕まれなければ、なんとでも言い逃れができる。
もちろん、尻尾をつかまれない自信は大いにある。
やがて。
旅が始まった。
伊豆半島からクルーザーは南下していく。
鈍く銀色に光るジェラルミンのスーツケース。
それをミサオは後生大事に抱えていた。
ははん。
あの中には彼女にとって大切なものが入っているのは確実だ。
すると、中身の金銭的な価値も高いに違いない。
これだから、怪盗は辞められらない。
ちらりとスーツケースを見る。
問題があった。
スーツケースにロックがかけられているのだ。
まぁ、それは中身の価値が高いという証拠でもある。
カードキー式だ。
ピッキングでも開けられない。
イスラエル製だろうか?
違っていたとしても、それに匹敵するほどの頑丈さだ。
もっとも、ボクにとっては大した問題ではない。
無理に開けようとするから難しいのだ。
鍵さえあればいい。
ちょっと考えただけで、鍵が場所の目星はついた。
あとは、隙を見つけて盗みだすだけ……。
(つづく)
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