日曜サスペンス劇場(28) / 推理

「日曜サスペンス劇場」シリーズは実際にプレイしたTRPGの小説化です。
 それを念頭においた上でお読みいただけると、より楽しめるかと存じます。

 本筋
 驚愕。
 あっけにとられた羽山トモカは、沈黙した。
「……マヤク?」
 魔薬? ……いや、麻薬だ。
 沢田ヨゾラの言葉をようやく漢字へ変換できた。
「また、……ずいぶんと突拍子もないことを……」
 ヨゾラは繰り返す。
「そう。阿佐ヶ谷先輩と結城さんとが麻薬の取引をしているんじゃないかって」
 一拍置いて。
「……朝比奈さんと話していたんだ」
 朝比奈サヤカの名前が出る。
「……」
 ヨゾラも、何の前触れもなく、こんなことを言いだしたのではない。
 彼は、以前結城ミサオが自分の左腕を揉んでいるのを見ていたのだ。
 まるで、注射をされた後のように。
 いや。
 注射を「した」という表現の方が正確なのではないだろうか。


 トモカは一瞬つまる。
 やうやく言の葉を紡ぐ。
「ふたりが麻薬の取引をしていたかどうかは知らない」
 そう前置きして
「でも、ふたりは取引しているっていうより、むしろ対立している感じだよ……」
 事実を一部だけ伝える。
「……何を知っているの?」
 ヨゾラが尋ねる。
 何かを隠している、そう確信しながら。
 トモカは黙った。
 心にやましいことがあるから。
(つづく)

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