日曜サスペンス劇場(26) / 鍵

「日曜サスペンス劇場」シリーズは実際にプレイしたTRPGの小説化です。
 それを念頭においた上でお読みいただけると、より楽しめるかと存じます。

 本筋
 倉庫の前。
 朝比奈サヤカも沢田ヨゾラも、羽山トモカの説明は半信半疑だった。
 正確には「疑」の方が大きかった。
 ……『声』なんていうんじゃなかった。
 慌ててトモカ
「ほ、ほら。これ……。阿佐ヶ谷君の靴跡じゃない?」
 そういって床を指し示す。
 確かに、その場所には革靴を引きずったかのような痕があった。
「ということは……」
 そう呟いたヨゾラは、目線を倉庫の扉に向ける。
「……この中に?」
 ヨゾラは歩を進めると、扉に開けてみようとする。
 けれども、いくら力をかけても扉は微動だにしなかった。
 鍵がかかっているのだ。
「声がしたんだよね? ということは、中にいるのかもしれない」
「ご、ごめんなさい……。聞き間違いかもしれない……」


「何やってるの?」
 突然、別の声が発せられる。
 視線を向けると、館石ヒナノが立っていた。
 女子高生にも見える体格の少女だ。
「ここ開けたいの?」
 ヒナノは返事を待たずに、扉の前に近づいていく。
 他の3人に止める理由はない。
 彼らの間を通って、扉の前に立つ。
「よっと」
 小声でそう呟くと、迷彩服につけたポーチから金属の棒状の何かを取りだす。
 三本の指で「それ」を摘むと鍵穴に挿入する。
 まるで耳かきみたいだな。
 サヤカはそう感じた。
「それ。どうしたの?」
 ヨゾラが問う。
ヤフオクで買った。2千124円だったよ」
「へぇ。意外に安いんだね」
「うん。オークションに参加してたのひとりだけだったから」 
「ふ〜ん」
 ピキン。
 微かな音が発せられる。
「開いたよ」
『この本は村上春樹だよ』ぐらいの軽いニュアンスで告げる。
「あ……あぁ」
 返事をしたのは誰だったろう。
 ヒナノがそっと扉を開ける。
 倉庫の中からひんやりとした風が流れでてくる。
 静かだった。
 いくつもの食料が目に入る。
(続く)

○最近読んだ本
 

夢をかなえるゾウ

夢をかなえるゾウ

「成功する人生を送るには」という哲学本です。
 大同小異な本はたくさんあります。
 はっきりいって、大したことが書いてあるわけではありません。
 しかし、これは誉め言葉です。
「読んだだけでやった気分になるだけの本」ではないからです。
 つまり「覚悟完了!」さえすれば、今日からできる簡単なことが少しづつ書かれています。
 付け加えのようですが、
 登場人物の関西弁を喋るガネーシャのテンポの良さが心地よいです。

○最近
 ホテルニューオータニで食事してきました。
 美味しかったです!

○星
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