2007-11-19 日曜サスペンス劇場(26) / 声

 「日曜サスペンス劇場」シリーズは実際にプレイしたTRPGの小説化です。
 それを念頭においた上でお読みいただけると、より楽しめるかと存じます。

 本筋
 朝比奈サヤカと沢田ヨゾラのふたりと、羽山トモカは見あっていた。
 ……。
 …………。
 数分の時が流れた。
「どうしたの?」
 先に声を発したのはヨゾラだった。
「え、えと……。阿佐ヶ谷君いなくなっちゃったじゃない?」
 トモカが答える。
 言外に「だから捜していた」というニュアンスがにじんでいる。
 だからといって、なぜ倉庫に?
 その言葉が発せられたか、発せられないか。
「わ、私『声』が聴こえるの」
「『声』?」
 ヨゾラが驚嘆の声をあげる。
「そう。だから、ここの向こうから『声』が聴こえたの」
 トモカは倉庫の扉に視線を向ける。
「阿佐ヶ谷先輩の?」
 ヨゾラが尋ねる。
「そ、そう」
「……」
 ヨゾラは無言だった。
「……」
 サヤカは無言だった。
「……」
 トモカも無言だった。
 ……こんなこというべきでなかった。
「じゃあ」
 最初に動いたのはヨゾラだった。
「声がしたのなら、生きているはずだよね。開けてみようよ」
 しかし。
 扉は微動だにしなかった。
 ……。
(続く)


○最近読んだ本
ユリイカ2007年11月臨時増刊号 総特集=荒木飛呂彦 鋼鉄の魂は走りつづける
 徹頭徹尾、荒木飛呂彦先生特集です。
 「最高にハイってやつだぁぁぁぁあ!」
 特に、描かれたイラストと、見え方及び与える印象との関係を調べた研究が面白かったです。

○星
 スターをつけることにしてみました。
 面白かったら、上記のスターをクリックしていただけると幸いです。

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