日曜サスペンス劇場(8) / 毒
羽山トモカは自分が準備したものを旅行カバンの奥にしまいはじめた。
まずは「シンガポール土産のチョコレート」(30個入り)である。
もちろん、これだけでは、何にもならない。
次に用意したのは「注射器」である。
薬学部である彼女にとって、注射器は見慣れたものだ。
割れないように袋に入れて、旅行カバンに隠す。
最後に用意したのが「ビタミン剤」である。
羽山トモカの計画はこうである。
まず、結城ミサオにチョコレートを食べさせる。
次に、彼女に「毒が入っている」と思いこませる。
その後で、用意してきた「ビタミン剤」をさも解毒剤であるかのように提示する。
ミサオに自白を強要し、彼女がどこまで、何を知っているかを掴むというものだ。
こないだ観た「サスペンス劇場」ではうまくいっていた。
きっと大丈夫だろう。
その計画を胸にしまい、家を後にした。
こうして映画研究会の撮影旅行は始まった。
全メンバーは、まず車で下北半島に向かう。
そこからはクルーザーの旅だ。
もちろん、そのクルーザーも結城ミサオが用意したものである。
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