メメント

メメント(MEMENNTO)」という映画をビデオで観ました。
 妻を殺されたショックで、新しいことを覚えられなくなってしまった男が主人公です。
 その時より前は記憶が正常だったため、言葉に関しては何の不自由もありません。
 しかし、その時より後の出来事は一切記憶できません。
 そのため、数分前に会った相手すら覚えていられません。
 そんな状況の中、主人公の男は妻殺しの犯人を追いつづけるのです。
 ――といった話です。

 最後まで観ました。
 ラストがどうなるかはこれから観るかもしれない人のために黙っておきましょう。
 一言でまとめると「怖い」映画でした。
「何も記憶できない」という精神状態、それはそれで怖いです。
 ただ自分がそんな状態になるという想像は、正直難しいです。
 むしろ、その逆の立場、つまり相手から忘れ去られるというのが怖かった。
 信頼している相手から、忘れ去られる。
 自分の所属している団体から、ある日突然忘れ去られる。
 恐怖。
 もちろん、自分だって他人のことを忘れることは多々あります。
 ただ、その時は「他人を忘れた」ことに対して無自覚なわけで、
自分自身としては、恐怖も、罪の意識もないまま人生を過ごしていくわけです。
 それに対して「他人から忘れ去られる」恐怖。
 辛いです。
 
 また、他人との意思疎通ができないというのも恐怖なわけで。
 自分を忘れないでほしい。
 自分を理解してほしい。
 自分が自分であることを認めてほしい。
 自分の声が誰かに届いてほしい。
 そこで何をしたらいいのか。
 そもそも何をするか選ぶことから自己表現が始まる。
 そんなことをつらつらと考えていました。

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