No title
2003/12/23 (Tue)
※ひさしぶりに続きです。
もう何がなんやら。
数日後。
鈴原さんが来ました。
「父さん! もういいけげん仕事を辞めてくれないか!」
「これだけは絶対にゆずれん!」
「体を壊したのも、全部仕事のせいだろうが!」
「だからといって辞めるわけにはいかん!」
「もっと体を大切にしてくといっているだけなんだ」
「しかし!」
今日もふたりは大喧嘩です。
ふたりは会うたびに喧嘩になってしまいます。
ぼくは外からそっと見ていることしかできません。
あまりいい気分ではありません。
「すいません。父の所に来るたび、こんな声を荒げてしまって」
鈴原さんが帰りしな謝りに来ました。
「いえ、いいんです」
家族が仲たがいしているよりも、お互いのことを思っての喧嘩なんだから。
その言葉をそっと口の中に押しとどめます。
「父も年ですから。がんこなんです」
「そうですね」
息子さんはお父さんの体のことを思って退院させないでくれといったんですね。
退院したら、すぐ仕事に戻ってしまうだろうから。
納得しました。
父親思いの息子さんです。
ただ、なにか漠とした不安が残ります。
それは鈴原さんの仕事がなにか分からないから。
それだけなのでしょうか?
本当に?
結論のでないまま、鈴原さんは退院しました。
続く
※「そろそろ終わりにしてよ〜(泣)」
「大丈夫。あと一回のはずだから」
「本当に?」
「……たぶん」