ある愛の唄

 2003/10/13 (Mon)

 ぼくの名前は葵。
 病院で看護師をしています。
「ぼく」といっても女性です。彼氏はいません。
 時間帯が不定期だから。
 でも、寿退社する同僚もいるのですが。
 まあ、それはともかく。
 働いている病院は、仲間うちでは「流刑」病院といわれています。
 確かに、労働条件は良くない、というから悪いです。
 ぼくも早く辞めたいです。
 ドクターも、同僚も大半が同意見です。
 それに、昼間勤務の事務の人がいばって怒鳴ってばかり。
 早く辞めたいです。

 そんなある夜。
 ぼくが夜勤をしていると、救急車が来ました。
 新しい患者さんです。
 男性の老人です。
 連絡してくれた人の話によると、道路で倒れて苦しそうにしていたとのこと。
 緊急オペです。
 
 発見が早かったため、大した手術もなしに助かりました。
 よかったです。
 直接の原因は寒さのようです。
 しかも、外気に一晩中さらされていたようです。
 けれども。
 不思議なのは、患者さんが肉体労働をしているわりには体が貧弱なこと。
 一体なぜ、夜遅くまで外にいたのでしょう?

 (続く)

 ※この文章はフィクションです。
  実在する・架空の人物とは何の関係もありません。