映画「精神」を観ました。

「精神」という映画を観ました。
 ベルリン映画祭で、高い評価を得た映画です。
 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にも出展されました。
(気になる方はググッてみてください)

 さて。
 簡単に紹介をすると、精神病院に関わる人々を撮ったドキュメンタリー。
 いろいろな人が登場します。
 患者さんだけでも、診察シーン、待合室での雑談……。
 様々なシーンが登場します。
 もちろん、患者さん以外にも、お医者さん、病院のスタッフ等々。
 
 で。
 感想を書きたいのです。
 が、まずは自分自身の立ち位置から始めたいと思います。
 映画のひとつのジャンルとしての「精神病院もの」。
 よく観ます。
 好きです。
 例えば、過去の日記で、落ちこみ状態から復活した日。
「17歳のカルテ」の紹介文を Copy Cat したこともありました。
http://d.hatena.ne.jp/Snasna/20051125
 あと、「カッコーの巣の上で」も好きです。
 なので、ついつい比較してしまうのです。
「精神」を、他の2本と比べると「退屈」です。
 考えるまでもなく、それは当然なわけで。
 というのは、「精神」はドキュメンタリーなわけですよ。
 ショッキングなシーンを演出として挿入することはできません。
 それをしてしまったら、ドキュメンタリーではありませんから。
 ただ、たんたんとした日々が撮影されています。
 むしろ、監督さんは
「精神病院でも、たんたんとした日々が送られている」
 という事実を伝えたかったのかもしれません。
 そして、それを分かっていた・知っていたというのもあるでしょう。
 なぜなら、1年、精神病院で働いていた経験があるからです。
(実際に患者さんと接したのは、そのうちの短期間ですが)
 
 映画の後、監督さんが話をされました。
 監督さんと同じ違和感を抱いていたことが分かりました。
 それは
「精神病院は、自分から行く場所ではない。
 人に連れられていく処だ」
 という説です。

 以前、小説の勉強をしていた時に云われました。
「どんな作品にも、作者のメッセージがある」と。
 そして。
 この「精神」という映画にもメッセージがあります。
 そのひとつに、
「精神病院に対する偏見をなくしたい」
 ということを感じました。
 ぜひ、「偏見を持っている」人に、観てもらいたいです。

 それ以外にもメッセージはあります。
 さて、映画をもう少し説明しましょう。
 作品中に、監督さんは登場しません。
 そして、出てくる人々にも、一切何を喋るか指示をしていません。
 もちろん、カンペ(カンニングペーパー)もありません。
 しかしながら、監督さんの主張は確かに伝わってくるのです。
 たしかに、撮影そのものには一切手を加えていません。
 が、その後の編集を監督さんがしているのです。
 例えば、不必要と判断した部分は削り、順番を並べかえ、そうして映画が完成するのです。
 監督さんが何を伝えたかったのか、それは実際に観て、感じてください。
 今まで書いたことは、全て小鳥遊の主観にすぎません。
 観た人が感じたことこそ、正解なのですから。